「高齢者・障害者向けいす式階段昇降機・段差解消機事業の案件化調査」が、国際協力機構(JICA)のトピックスに掲載

2020年07月10日 公開

当社が2019年より実施しているベトナムにおける案件化調査が、国際協力機構(JICA)のトピックスに掲載されました。

独立行政法人 国際協力機構『【中小企業・SDGsビジネス】栃木発バリアフリー化への挑戦:シンテックス株式会社』
https://www.jica.go.jp/tsukuba/topics/2020/ku57pq00000lymi9.html

当社は、ベトナムの高齢者や障害者が快適な生活を送れるように、住居や生活環境のバリアフリー化に向けて、JICA中小企業・SDGsビジネス支援事業「高齢者・障害者向けいす式階段昇降機・段差解消機事業の案件化調査」(2019年6月~2020年10月)を実施しています。

案件化調査とは?

案件化調査とは、JICAが実施しているビジネスモデル策定の支援を目的とした民間連携事業(中小企業・SDGsビジネス支援事業)の一つです。途上国の課題解決に貢献し得る技術・製品・ノウハウ等を活用したビジネスアイデアやODA事業での活用可能性を検討しながら、ビジネスモデルを策定していきます。

案件化調査ではJICAが企業より提出された企画書(事業提案書)を審査し、優れた事業提案をした企業と業務委託契約を締結、数か月~1年程度に渡り、情報収集やビジネスモデルの策定、相手国政府機関との関係構築を支援します。この調査を実施することで、途上国政府の事業やODA事業、市場に製品・技術が活用・拡散し、企業の海外事業展開と共に、途上国と日本国内における地域経済の活性化の促進に繋がると期待されています。

シンテックスにおける案件化調査について

当社はベトナムにおいて「高齢者・障害者向けいす式階段昇降機・段差解消機事業の案件化調査」を実施しています

ベトナムでは現在、人口が約9,620万人おり、その7%が高齢者となっています。また過去に起きたベトナム戦争や国境地域での紛争の影響で、約700万人の障がい者がいます。このことはベトナム国内でも課題となっており、2011年には「障がい者法」を制定、官公庁や公共施設のバリアフリー化に向けた活動を取り組んでいますが、現場では設備や器具の不足や介助者の確保が問題視されています。その為、今日においても多くの高齢者や障がい者は不自由な生活を余儀なくされています。

当社はベトナムが抱える課題の解決に向けて、タスカルシリーズを通じた調査活動を技術面と制度面、デモンストレーションという三つの側面に重点を置き、調査を行っています。デモンストレーションはハノイ市内にあるハノイ整形リハビリ病院とハノイ駅構内にて実施し、高齢者や障がい者、介助者に利用いただいています。

ベトナムにおいて提案・デモンストレーションを行った福祉機器「タスカルシリーズ」は、次の二機種で構成します。

  • 階段昇降機

    ベトナムのハノイ市内にあるハノイ整形リハビリ病院へ階段昇降機を設置

    階段に設置する福祉機器で、いす型の座面に搭乗した高齢者や障がい者が階段を昇り降りするのを補助します。階段昇降機はホームエレベーターのように下階と上階を縦につなぐ経路を用意する必要が無く、比較的安価に住居への後付けができます。

  • 段差解消機

    ベトナムのハノイ駅構内に段差解消機を設置

    玄関口のように段差がある空間に設置する福祉機器で、車いすに搭乗したまま段差を垂直方向に移動できます。段差を解消する手段としてスロープが有りますが、スロープは段差の約12倍の距離が必要になり、ある程度のスペースを確保できる環境が求められます。段差解消機は狭い空間に設置して利用できるので、スロープを設置する余裕がない場所に適しています。

サステナブル社会の実現に向けて

階段昇降機・段差解消機のような福祉機器がベトナムで利用されることで、バリアフリー化が実現し、高齢者や障がい者の生活の質(QOL)向上や、就学・就業促進が期待できます。ベトナムでの案件化調査は、SDGs(持続可能な開発目標)のゴール10(人や国の不平等をなくそう)やゴール11(住み続けられるまちづくりを)にも貢献します。

地球環境も資源も、そこに住む私たちも取り残されることのない、持続可能な社会の実現に向けて、シンテックスはこれからも邁進していきます。